Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               



































本コラム執筆のための参考サイト

https://ja.wikipedia.org/wiki/スカンク

https://en.wikipedia.org/wiki/Mephitidae

https://ja.wikipedia.org/wiki/マダラスカンク属


https://en.wikipedia.org/wiki/Spotted_skunk























































































ブチルメルカプタン 別名ブタンチオール
https://ja.wikipedia.org/wiki/チオール

ブチルアルコールの酸素原子が硫黄原子に置き換わった構造の化学物質です。ガスに添加される臭気の1つでもあり、細胞親和性が高く、皮膚などに着くと匂いが抜けません。目に直撃を受けると一時的な失明どころか角膜損傷で永久に失明するおそれもありそうです。

 この物質を合成・貯蔵・まき散らすスカンク自身には問題がない模様ですが、どうなっているのでしょうか?

まぁ、米国旅行中にスカンクと出くわしたときには一目散に逃げるのが肝要です。狂犬病に罹患していて突進して来て噛み付くおそれさえあります。







マダラスカンクのみ逆立ちで自立しますが、小サイズであることが関係していると考えます。ボディサイズが大きいと自立式逆立ちは途端に苦しくなる筈です。







https://animaldiversity.org/accounts/Spilogale_pygmaea/

Spilogale pygmaea  pygmy spotted skunk
Behavior
The Spotted Skunks first reaction in time of danger is to flee. When cornered they engage in an offensive display. They attempt to inflate themselves and raise their tail. They then stand on their front legs and may even advance towards their percieved attacker in this position. If the threat is still not abated they drop back to all fours and bend themselves into a U, aiming at their attacker. It is then they release the familiar scent in a cloud of droplets.

ピグミー・マダラスカンク
行動(抜粋)
マダラスカンクが危険に遭遇した場合の最初の行動は逃避である。逃げられないと感じた時には攻撃行動に出る。身体を膨らませ尾を挙げるのだ。次に、前肢で立ち上がり、その姿勢のまま敵であると知覚している攻撃者に向かって進んだりさえもする。脅威がまだ軽減されないのであれば、4つ足に戻り、自身をUの字に曲げ攻撃者に狙いを付ける。例の匂いのしずくの霧をまき散らすのだ。











































































 院長のコラム 2019年6月25日 『逆立ちする動物 A マダラスカンク』








逆立ちする動物 A マダラスカンク


2019年6月25日

皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 前回、マングース科の動物 コビトマングースの逆立ちマーキング動作を紹介しました。イタチ科に近いスカンク科のスカンクは肛門腺からの液体の噴霧攻撃並びにその悪臭被害の大きさで有名ですが、中でも米国南部〜中米に棲息する小型のマダラスカンク属の4種は、発射前には skunk dance  としてよく知られている威嚇の逆立ち歩きをします。今回はこのスカンクを採り上げ、逆立ちの実態に幾らか迫りたいと思います。






https://www.fieldmuseum.org/blog/spotted-skunk-evolution-driven-climate-change

Western Spotted Skunk ニシマダラスカンク

首を反らして顔をこちらに向け、後肢は左右に広げ尻尾も利用してバランスを

取ります。この警告動作で攻撃者が諦めない場合、四つ足姿勢に戻り、

次いで身体をUの字の曲げ、肛門を相手に定めて悪臭液を噴射します。




 skunk dance の記事を紹介しましょう。


If you see a skunk dance like this, get away

Spotted skunks perform a 'handstand dance' for intimidation.

Russell McLendon

https://www.mnn.com/earth-matters/animals/blogs/spotted-skunk-handstand-dance

May 11, 2018, 8:33 a.m.から以下抜粋


 "Like the other three groups of skunks, spotted skunks are capable of  spraying a strong unpleasant scent as a form of defense," the National  Park  Service wrote in a 2015 Facebook post about the video. "But before  spraying, spotted skunks will sometimes go into a handstand and attempt to  intimidate any would-be aggressors like this wildlife camera, placed in  Happy  Valley."

 The display begins with the skunk standing upright on its forelimbs, with  its tail and hind legs up in the air, and may also involve other intimidation tactics like stomping, hissing, charging, scratching and aiming, according to  the University of Michigan Museum of Zoology's Animal Diversity Web (ADW).

 This dance may not directly reveal the skunk's next move, but it's no idle  threat.

 If dancing fails to intimidate a potential predator, the skunk can resort to  its real weapons: a pair of scent glands, one on each side of its anus, that  spray a foul-smelling musk. "The skunk generally aims for the attacker's  eyes, temporarily blinding it as well as assaulting its olfaction with the  yellowish-colored butyl mercaptan-containing liquid, which can be ejected  up to 10 feet," the ADW explains.

 A spotted skunk can reportedly hold about 15 grams (1 tablespoon) of  this  oil, which is slightly different from the oil of a striped skunk, and  release it in a rapid-fire burst of sprays. It may take a week to replenish  the oil once it's depleted, though, so handstands could offer a more  sustainable way to  fend off troublemakers. In the video below, a spotted  skunk repeatedly uses  this technique to repel a fox:

 Still, if you ever find yourself watching a skunk dance like this in person,  don't count on any second chances. Otherwise, you may need this recipe  from the ADW:

   "One remedy for skunk odor is 1 quart 3% hydrogen peroxide (from the  pharmacy), 1/4 cup baking soda and 1 teaspoon liquid soap. Wash and rinse,  keeping away from eyes, nose and mouth."






Heard of The SPOTTED SKUNK? He Does HANDSTANDS & Dances!  

Affected Collective 2017/07/31 に公開

https://youtu.be/DSU7LbNJLIw


動物ファンがあちこちから寄せ集めした内容の動画ですが、

逆立ちシーンが有用と判断しここに紹介します。


コビトマングースやヤブイヌとは大きく異なり、スカンクは足を対象物に

寄り掛からせることなく、完全に前肢のみで逆立ちします。前方を見るべく

頭を背側に曲げ、後肢はバランスを取るためか左右に開き、両手を着いて

よたよた歩行します。姿勢的には苦しそうですね。


この動作を見たら一目散で逃げることが肝要です。

これはマーキング行動では無く、敵への威嚇並びに攻撃行動です。





以下和訳


 他の3グループのスカンクと同様、防御形式としてマダラスカンクは強烈に不快な悪臭をまき散らす。国立公園局は2015年のフェイスブックのこのビデオの投稿で以下の様に書いている。「Happy Valley に設置された野生動物撮影用カメラに映っている様に、撒布の前に、時々逆立ちし、攻撃者となろう何者に対しても脅しに掛かるのだ」

 ミシガン大学動物学博物館の動物多様性ウェブサイト(ADW)に拠れば、この示威行動は、前肢で直立に立ち上がり、尻尾と後肢を空中に突き出して始まるが、足を踏みならしたり、シューと音を立てたり、突進したり、引っ掻いたり、狙いを付けたりと言った他の脅しの方法を取る時もある。

 このダンスは、スカンクが次になにをするのかを直接示すものではないが、無駄な脅しとは全く違う。捕食者となり得る者への威嚇に失敗した場合、スカンクはその最終兵器−肛門の左右に一つずつある一対の臭腺から悪臭のある分泌物をまき散らす−に訴える事が出来るのだ。最大3mまで射出され得る黄色みを帯びたブチルメルカプタン液を噴射して、たいていは攻撃者の目を標的にし、一時的に盲目にさせ、また嗅覚に対しても攻撃を加える、とADW は説明する。

 報じられるところでは、マダラスカンクはシマスカンクの油分とは軽度に異なる15グラム(スプーン1杯)のこの油を保持しており、急速な連続発射でまき散らす。一旦カラになると補充するのに一週間程度を要すが、それでも逆立ち動作は妨害者からの攻撃を遣り過ごす為の、より持続可能な方法とはなり得る。下のビデオではマダラスカンクはキツネを追い払うためにこのテクニックを繰り返し使っている。

 もし自分自身が生でこの様なスカンクダンスを目にしていることに気が付いたならば、今回は大丈夫だろうなどと考えてはいけない。さもなければ、以下のADW のレシピが必要になるかも知れない:<スカンクの臭気に対する1療法は、3%の過酸化水素水1クォート(0.946リットル)(薬局で購入)、1/4カップの重曹、スプーン1杯の液体洗剤を用い、目、鼻、口に入らぬ様注意しながら洗い、濯ぐ>。









 他のスカンクと異なり、マダラスカンク属の4種のみが自立式の逆立ち動作を可能とするのは、矢張りボディサイズの小ささ(体重は0.2kg〜1kg)が物を言っているからだろうと考えます。体重が増大するとこの動作が困難になるものと予想されます。首を反らすことから頸椎の関節角度が大きく、また、手の関節を反らす許容角度並びに体重を支えるための関節強度や筋の構築も、他のスカンク類と比較すると差が出ている可能性もありますが、形態的な差は僅かかも知れません。これが大きいサイズの動物で同様の動作を定型的に行うのであれば、力学的要請から形態的な違いはより明瞭なものとなる筈です。哺乳動物で独立式の(媒体に寄り掛からない)逆立ちを定型的動作として行うのは、マダラスカンクのみではないかと思います。逆立ちを維持すべく、手の位置を随時ずらして地面に着けば、自ずとヨタヨタ式の歩行もどきにはなりますが、この逆立ち歩行が方向性を明確にし得、目指した方向へと進める様に至れば、逆立ち二足(二手)歩行は完成に近づきますが、マダラスカンクは普段は四足歩行しますので(これの方がラク)、完成度を高めて逆立ち二手歩行オンリーにロコモーションが取って代わる理由は見いだせません。飽くまで警告・威嚇動作としての役目の逆立ち歩行に留まるでしょう。

 ブチルメルカプタンは酸化され易く、それゆえ過酸化水素水(オキシフル)の混合液で洗浄するとのレシピですが、現在、過酸化水素水は発癌性が判明し、人体への使用は奨められません。原子状の酸素が遺伝子損傷作用を有する訳ですが、悪臭は取れたは良いが癌の危険がある、では困りますね。

 スカンクは狂犬病の媒介動物でもあり咬まれると大変なことになります。この意味からも目撃次第、兎にも角にも逃げるに如かず、が何よりですね。