Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               
























本コラム執筆の参考サイト


https://ja.wikipedia.org/wiki/タヌキ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ホンドタヌキ

https://en.wikipedia.org/wiki/Raccoon_dog

https://ja.wikipedia.org/wiki/アライグマ

https://en.wikipedia.org/wiki/Raccoon


https://ja.wikipedia.org/wiki/ニッチ







https://ja.wikipedia.org/wiki/アーサー・キット
昭和30年には国内で20万枚を売り上げ大ヒットになったとのことです。アマゾンのストリーミングで聴けますが、院長はプライム会員ゆえ只で聴けました(正直なところ有料では聴く気がしません)。

CD音源はモノラル音声が
僕たちの洋楽ヒット DELUXE VOL.1 1955-1963
に収録されています。


https://www.shojoji.net/index.html
護念山 證誠寺

https://ja.wikipedia.org/wiki/証城寺の狸囃子

 狸囃子の童謡が大正14年に世に出た当時は證誠寺の住職がけしからんと怒っていた、との昔の新聞記事を院長は見た確かな記憶があるのですが、今は上手く遣っているようですね。







https://theworldnews.net/gb-news/what-is-fake-faux-fur-which-animals-is-it-made-from-and-which-shops-in-the-uk-have-sold-real-fear-unknowingly
タヌキの毛皮が人工の毛皮(fake fur)の名で売られ、消費者もそれを知らずに利用している。

現在も中国などで毛皮獣として養殖されているのかも知れませんね。キツネにやや近いことから毛皮の質は実際良いのかもしれません。








































































































































































































































































































































































 院長のコラム 2019年8月20日 『タヌキと木登り』








タヌキと木登り


2019年8月20日

皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 イヌ科の系統分類の中では、タヌキはキツネの仲間には近いものの、早くに枝分かれした孤立した動物である旨を述べました。人家近くにも棲息し我々日本人にはごく普通の存在どころか、童話や伝承でも子供の頃から多くのタヌキに纏わる話が耳に入り、folklore (フォークロワ フォルクローレ 民間伝承)上でも日本人の心には最重要な位置を占める動物の1つです。信楽焼の例の置物も数十万像単位で国内に存在しそうに見えます。因みに獣医学的な話をチラとすると、タヌキはイヌ科動物ですのでジステンパーに罹患します。

 この様に、日本人には馴染み深いタヌキですが、欧米人の目には珍獣に映る模様です。元々の生息地は東アジアですが、毛皮を得る目的で旧ソ連に人為的に導入され、その施設から野に放たれたものが、生態系を破壊するのみならず狂犬病をも媒介する有害獣(全ての哺乳類は狂犬病に感染します)としてヨーロッバに棲息域をじわじわ拡大しています。特にバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)とフィンランドで数を増しています。それでもタヌキの存在を知る欧州人はまだ皆無に近いのでしょう。更に、racoon (raccoon とも綴る)アライグマと raccoon dog タヌキ(アライグマイヌ)ですから混同も起きる筈です。アライグマはアライグマ科でタヌキはイヌ科と離れていますが、実際、外見は大変似ています。他人のそら似現象の1つと言って良かろうと思います。






Sho-jo-ji (The Hungry Raccoon) - Eartha Kitt 1955 - 証城寺

Hadaa Sharpedo 2014/09/27 に公開

Sho-jo-ji (The Hungry Raccoon), adapted from the Japanese folk song

"Shojoji no Tanuki Bayashi" (Raccoon Dogs Dancing at the Shojo Temple). Eartha Kitt.

https://youtu.be/kWqN3grN96Q


院長は子供の頃、ラジオから流れるこの曲を聴きましたが、今でも

印象強く、特に流麗な出だし(バックコーラスはRの発音からすると

日系人でしょうか?)が耳に残っています。中華風アレンジですが

中毒性もあるメロディです。タヌキでは無くアライグマの歌となって

いますが、アーサ・キット本人もタヌキの歌とは思っていなかったの

ではないでしょうか。歌詞自体は馬鹿馬鹿しい児戯めいた内容で、

有料で音源を得ようとの気持にはなれません。




https://www.thesun.co.uk/wp-content/uploads/2017/04/nintchdbpict0002894038091.jpg

イヌ科にしては耳が小さく丸く、吻の尖りは甘いですね。

落ち葉が散らばっている時節ですので冬毛を纏ってい

るのでしょう。院長は学術標本として作製されたタヌキの

剥製を保有していますが、これほどの毛量はありません。





 イヌ科動物の中では、タヌキ並びにイヌ科の祖先型に近いとされる孤立群ハイイロキツネ(北米に棲息)の2種のみが木登りを行うとされます。食肉目の祖先型に近い姿を遺すとされるジャコウネコは巧みに木登りをしますので、地上生活性への適応を強めていたイヌ科の祖先が、ある程度は木登り習性を遺していたことは十分に頷けることです。しかしながらタヌキが木に登るシーンを見ると、巧みな身のこなしで樹幹を走るなどとはほど遠く、おぼつかない足取りで傾斜の緩い枝の上に立ち、木登りをすると言うよりは、幅の狭い斜面を登っているのに等しく見えます。

 タヌキが、祖先の習性を遺し原始的なイヌ科の姿を伝えていると言うよりは、一度木登り生活を捨てた動物(イヌ型の動物)が、樹上を含めた三次元空間に再び進出し始め、アライグマ化しつつあると解釈する方が自然ではないかと院長は考えます。偶蹄類の山羊が枝を把握する能力を持たずとも、巧みに木登りする事はよく知られており、鉛直度の高い幹でも無い限り、バランス能力さえあれば相当程度の木登りは可能ですが、タヌキの持つ小脳のバランス能は未熟なレベルにあると感じます。一度完全に樹上性を捨て去ったのではないでしょうか?

 南米産のイヌ科動物の中での孤立系にあるヤブイヌとタテガミオオカミが、系統が近いにも拘わらず、600万年の時の分離を経て、互いに全く違う体型(片方はずんぐり、片方はアシナガ)になったことを鑑みると、アライグマの棲息しない日本並びに東アジアで、タヌキの祖先がその生態的地位(ニッチと言う)に向けて進化し、外見も習性もアライグマに類似してきたと考えてもおかしくはなかろうと思います。平地の方はオオカミやその近縁の動物が<闊歩>しており、競合を避け、樹林のヘリに拠点を構えた一派だろうとの考えです。これは科学的な証拠の無い、単なる推測の域を出ない考え(speculation スペキュレーションと言う)ですので、皮算用が過ぎたかもしれません。






木登りタヌキ(多摩動物公園)Japanese Raccoon Dog Climb a tree

manyamou 2016/10/16 に公開

(多摩動物公園にて。2016年10月撮影)

https://youtu.be/adhHd3vcF9E




Mama raccoon teaches baby to climb tree Newsflare 2015/06/24 に公開

An adorable video has emerged of a raccoon teaching her baby how to climb a tree.

https://youtu.be/VpoLYJ3HjBg

子供に木登りの仕方を教えるお母さんアライグマ






 他方、ムジナの方ですが、本来はイタチ科のアナグマを指す言葉ですが、タヌキと混同される例が大変多いと思います。動物に詳しくないと、野山でムジナを目撃してタヌキと勘違いすることもあろうと思います。イタチ科にしては体型がずんぐりしており、鼻先の形状などもイヌによく似ていて、<クマだかイヌだかタヌキだかよく分からない>となるでしょう。院長は15年ほど前に、八王子の路面で斃死していたアナグマ標本を譲り受けたことがあります(『奥多摩のオオカミ信仰』のコラムで触れたN君経由でした)が、確かに鼻面などを見ると一見小熊の様にも見えたことを記憶しています。







http://skullbase.info/skulls/mammals/raccoon_dog/raccoon_dog1.jpg

タヌキの頭蓋骨。基本的形態はちょっと見ではイヌと区別が困難です。

360度方向からの写真を見るには上記 url にアクセスして下さい。






http://skullbase.info/skulls/mammals/raccoon/raccoon1.jpg

アライグマの方は吻の伸びがイヌ科ほどではなく、全体的に丸っこい感じ

ですね。歯列が平らではなく、奥歯が斜めに配置しています。脳が入って

いる部分(脳頭蓋)と顔の部分(顔面頭蓋)の比率や高さの違いををタヌキ

のものと比較してみて下さい。全然違うことがお判り戴ける筈です。





Raccoon photographed Lower Klamath National Wildlife Refuge in California

Original photo cropped and color corrected. 9 February 2013, 15:25:28

David Menke  (1946-2011) Blue pencil.svg wikidata:Q26235785

http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Raccoon_climbing_in_tree.jpg

画像に改変無し、ライセンス情報は上記url に記載。


このアライグマ写真を見てからタヌキの写真を見返すと、矢張り

タヌキはずっとイヌに近い動物なんだと改めて感じます。4本の

指を曲げ、手首との間で枝を握っていることが分かりますか?

このような<握る>動作が出来て初めて樹上生活圏に本質的

な進出が出来たと言えるでしょう。実は霊長類が本格的に樹上

空間に進出出来たのは高機能の<握る>を獲得したからなの

です。タヌキはこの域には全く届いていません。





 アライグマは物を握る能力が発達しており、径の細い枝などを保持して巧みに登れますし、鉤爪を利用して平面に近いような幹や壁面も登攀可能です。これに比べるとタヌキが木登りをすると言っても、イヌに毛が生えた程度に留まることが理解戴けるでしょう。

 水中生活への適応を示すヤブイヌが耳を縮めてずんぐりした体型になった一方、タヌキは木登りの練習中で、文字通りのアライグマイヌ raccoon dog になりつつあると考えますが、皆さんはどう考えますか?環境に応じて随分と姿が変わるものですね。

 尚、アライイグマに関しては、同じ科に分類される、パンダ、レッサーパンダと共に後日別項にて採り上げたいと思います。また、四足動物の木登り習性についても別項で詳述する予定です。

 次回から14回のシリーズでキツネの話題を採り上げます。どうぞご期待下さい!