Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               

























本コラム作成の為の参考サイト:


https://en.wikipedia.org/wiki/Hip_dysplasia_(canine)

https://flexpet.com/hip-dysplasia-in-dogs/



















































































































































































































































https://en.wikipedia.org/wiki/Virginia-Maryland_College_of_Veterinary_Medicine
バージニア州とメリーランド州が共同で立ち上げた州立大学ですね。



































市販品の例

https://bigbarker.com/
関節に負担を掛けないベッド


http://www.gingerlead.com/
イヌ用ハンモック式リード

https://www.mypetneedsthat.com/best-dog-ramps/
傾斜台

























 院長のコラム2019年12月5日 『イヌの股関節形成不全D 治療U 理学療法』








イヌの股関節形成不全D 治療U 理学療法


2019年12月5日

 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 英語版のWikipedia のイヌの股関節形成不全の項

https://en.wikipedia.org/wiki/Hip_dysplasia_(canine)

が文献の引用も豊富で比較的に充実していますので、他の文献並びに web からの最新情報も補いながら、これを話の軸として話を進めたいと思います。


 今回は非観血的治療法の続きとして、理学療法及び運動療法についてお話します。







理学療法ってなんだろう?導入編

公益社団法人日本理学療法士協会 2014/07/02 に公開

理学療法とは運動療法や物理療法を行い、失われた身体の基本的な

機能を取り戻す治療法の一つです。理学療法士は、病気やケガの回

復を促し、自立した生活を支える支援を行います。また、介護予防や

健康増進、教育研究など様々な場面でも活躍しています。

公益社団法人日本理学療法士協会

https://youtu.be/6HW3zvbOajs


失われた運動器の機能回復を目指す治療法の1つが

理学療法ですが、大きく分けて運動療法と物理療法から

構成されます。





理学療法



 理学療法 physical therapy とは、怪我、疾患、老齢などにより失われてしまった主に運動器の機能の回復を目指すための治療法ですが、ヒトの場合は、特に理学療法士の免許がなくとも、医師の指示のもとで看護師等の他の医療スタッフも実施が可能です。理学療法士は柔道整復師資格と異なり、独立開業は出来ず、通例整形外科医師の元でリハビリ業務に従事する形ですね。動物の場合、本邦では理学療法士に相当する国家資格は設置されておらず(動物看護師の公的資格は整備されつつあります)、獣医療に抵触しない範囲に於いて、誰でもそれを業として個人事業を行っても良いのですが、院長は動物専門の独立的な理学療法事業所の本邦での存在は知りません。イヌの躾け訓練校などと同様に、専門的な経験を積んだ腕に覚えのある者が、その様な事業展開を行うのも面白いと思います。但し、飼い主側は掛かり付けの獣医師の助言の元に理学療法の施術を受けるのが矢張りベターと思います。

 イヌの股関節形成不全に対する理学療法としては、同じ哺乳動物であるヒトに対して施術されるものと内容は基本的に変わりません。受動的或いは自発的に、回復に効果的な運動を行わせたり、マッサージを加えたり、温熱や電気、光線等で局所の改善を図ることが基本となります。






Hip Dysplasia Therapy Swim helpfulnatural 2017/02/08 に公開

I wanted to share this video of my 11 year old lab in his 1st therapy

swim session. He has had hip dysplasia all of his life and recently, his

right rear leg started going lame. He stopped putting any weight on it

and was dragging it behind him when he walked. We live in a cold

weather state and needed to find an indoor swimming facility quick.

He was tentative at first using the ramp and wearing a life vest but

after 5 minutes in the pool, he loosened up and had fun!

https://youtu.be/m9WXb4dWxe4

11歳のラブラドールは子供の頃から股関節形成不全を患って来ましたが

最近になり右後肢が跛行を来たし体重が掛けられなくなりました。私たちは

寒い州に住んでおり、屋内プールのある施設を急ぎ探さねばなりませんで

した。最初はベストを着て傾斜路を使いプールに入るのを嫌がっていました

が、プールに入り5分もするとくつろいで嬉しそうでした。


水の浮力で股関節面に対する体重負荷が軽減され、関節の痛みを伴わずに

自発的な筋運動が可能となります。これは筋の衰えを防止し、正しい筋運動

のリズムを回復させます。筋が発達すれば股関節を本来の正しい位置に保

つのに役立ち、骨関節炎の軽減に寄与します。観賞魚の水槽を大きくしたよ

うな容器に水を溜め、トレッドミル式にイヌを歩行させるタイプの装置もありま

す。バスタブの底に斜めのトレッドミルを沈め、装置を自作する事も出来るで

しょう。患畜の症状に合わせ水位を調整すると良いですね。この「水中療法」

は院長もお勧めします。特に大型犬種は若い内から水泳をさせて鍛えるのも

本疾患の発症予防には大変有効だろうと思います。






運動療法



 遺伝的背景の確認されているイヌに対して、症状が発現する以前に、或いは軽度な段階で、毎日規則的に或る程度の距離を歩行させたり走らせたりする事は、股関節周りの筋の発達を維持し、筋作用で股関節を正しい位置に保つ効果が期待できます。股関節周りの血流やリンパの流れも改善し、軟骨の成長回復にも資するところがあるでしょう。但し、成長(+肥満)で絶対的な体重が増大すると、院長コラムの『逆立ちとボディサイズ』の項にて触れましたが、<二乗三乗の法則>に拠り、単位面積当たりの関節表面に掛かる負荷が格段に高まります(体重は長さの3乗で増大する一方、骨関節面の断面積は2乗でしか増えない)ので、通常の歩行自体が徐々にどうしても苦しくなります。因みに、youtube での米国獣医師の解説ビデオを見ましたが残念ながら誰一人この様なアロトリーの考えには言及もしていませんでした。これは半分脱臼したような(亜脱臼)、且つ只でさえ正常ではない関節形態に重力方向の負荷が一段と掛かってしまうからです。歩行を嫌がり控える様になると、今度は後肢の歩行にあずかる筋群の廃用萎縮を招き、更に関節を正しい位置に保つ事がより不可能となり、悪化に加速が付いてしまいます。

 単なる歩行運動では無く、重力方向の体重の負荷を軽減し関節表面への負担を軽減しながら筋量を維持する方法として、(温水の)水中歩行訓練は非常に有益であると院長は考えます。痛みが軽減される中、股関節周りの筋が本来行い得る筋の協調リズムで後肢を前後に動かすことが出来、筋の廃用萎縮防止並びに<筋肉のカバー>で股関節を正しい位置に保持する力を備えることに繋がります。イヌに浮力を付けたり水位を上げ下げし、股関節面に掛かる重力を適宜調整しながら歩行させると良いでしょう。マッサージを行い、血流やリンパの流れを改善し、股関節の軟骨の成長回復を促す理学療法もありますが、この運動療法の前には吹き飛んでしまうでしょう。暖かい季節であれば、子供用のプールを設営し、イヌを歩行させる方法も採れそうですね。バスタブの底に傾斜したトレッドミルを沈め歩行させる手もあります。日常の訓練として行わせると良いと思いますが、プロに依頼すると人件費の面だけでも多額の経費が掛かりそうですので出来るだけ自前で工夫すると良いと思います。

 床面に置いたバーをまたいで歩行させたり、階段を上らせる、後肢で身体を立たせるなどのエクササイズも有効ですが、股関節の形態異常がある限り、成長に伴う体重増加が覿面に関節面に悪影響を与えます。<地上>での歩行訓練は筋量並びに筋の協調リズムの維持とそれを通じての股関節の正しい位置への保持には有効ですが、反面、確実に(異常な形態の)関節表面に対し負荷を掛け得るマイナスの面を持つ事を忘れるべきではありません。まぁ、全てのリハビリに言える事ですが、「だましだまし」での様子見をしながらの訓練、の心構えが大切です。最終的に目的とする成果が得られるかの見極めが大切ですが、医薬品或いはサプリメントと上手く組み合わせ、理学療法並びに運動療法を取り入れると良いでしょう。






Canine physical therapy - Virginia Tech

Virginia Tech 2013/08/27 に公開

Meet Baxter, a 2-year-old yellow Lab with hip dysplasia. After surgery,

Baxter works with Flori Sforza, a veterinary technician and certified

canine rehabilitation practitioner at the Virginia-Maryland Regional

College of Veterinary Medicine.

https://youtu.be/2Z_cu3b7nhw


資格(公的資格かは不明)を持ったイヌのリハビリ専門家が2歳のラブラドールの術後

の機能回復訓練を行うシーンです。右後肢の筋量の低下が著しく、また後肢がぐらぐら

で歩行の利用に耐えません。年単位でのリハビリが必要そうに見えます。






生活面での配慮



 理学療法の物理療法面での話となりますが、超音波や赤外線で股関節周囲を温め、血量の改善を図るのも有益です。レーザー光線を用いる方法もありますが現在まだ検討段階です。マッサージを行うのも同様の効果がある筈です。但し、これらの物理療法は、筋に自発的な運動を行わせることに比較すれば、補足的な手段に過ぎず、マッサージを毎日せっせと時間を掛けて施術したところで、股関節への状態の大幅な改善は期待できないでしょう。何となれば、筋は収縮し運動して初めて筋線維がその刺激で肥大成長する仕組みだからです。寒い季節にはイヌ用のコーナーマットの下に平面ヒーターを敷き保温するのも有益です。これは意識的な理学物理療法と言うよりは、イヌの生活の中に取り入れた工夫と言うべきでしょう。

 日常生活では、段差のあるところでは飛び降り飛び上がりを避けさせ、傾斜路を設置する、或いは関節面に負荷を掛けない構造のペット用ベッドを使用するなどが挙げられますが、今ではこの様に股関節形成不全を患うイヌを助ける製品が数多く手に入る様になりました。逆に言えば、それだけイヌの股関節形成不全が大きな問題となっている訳です。ハンモック式のリードが試されましたが、股関節形成不全を患うイヌが股関節の可動性を回復するのを助ける効果があることが証明されました。不幸にして後肢機能が廃絶した場合、イヌ用の車椅子に下半身を預け、自由に移動させる事も可能です。