Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               

























本コラム作成の為の参考サイト:


https://www.colliehealth.org/degenerative-myelopathy/


American College of Veterinary Internal Medicine
https://www.acvim.org/


Muscular Dystrophy in Dogs
https://wagwalking.com/condition/muscular-dystrophy


https://geneticliteracyproject.org/2018/10/25/promising-treatment-for-duchenne-muscular-dystrophy-developed-with-crispr-gene-editing/



https://en.wikipedia.org/wiki/Muscular_
dystrophy
https://ja.wikipedia.org/wiki/筋ジストロフィー


一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会
https://www.jmda.or.jp/


デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)
https://www.jmda.or.jp/mddictsm/mddictsm2/mddictsm2-1/mddictsm2-1-1/


https://ja.wikipedia.org/wiki/ジストロフィン


https://www.mda.org/disease/duchenne-muscular-dystrophy


https://ja.wikipedia.org/wiki/福山型先天性筋ジストロフィー

神戸大、筋ジストロフィー「福山型」治療に道
2011/10/6付 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0502M_V01C11A0CR8000/?at=DGXZZO0195591008122009000000


https://ja.wikipedia.org/wiki/フクチン


https://science.sciencemag.org/content/362/6410/86


https://geneticliteracyproject.org/2018/10/25/promising-treatment-for-duchenne-muscular-dystrophy-developed-with-crispr-gene-editing/



https://www.actionduchenne.org/what-is-duchenne/duchenne-explained/glossary-of-research-terms/stop-codon-readthrough/


国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部

https://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r_dna2/en/research_dystrophy.html


GENEReviews Japan 
拡張型心筋症概説
(Dilated Cardiomyopathy Overview)
http://grj.umin.jp/grj/dcm-ov.htm


筋収縮を調整する分子機構
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20030703/01.html

京都大学循環器内科 カルシウム拮抗薬
http://kyoto-u-cardio.jp/shinryo/chiryo/00607/0060706/


iPS細胞を使った遺伝子修復に成功 −デュシェンヌ型筋ジストロフィーの変異遺伝子を修復−
2014年11月27日
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/141127_1.html






















































































































 院長のコラム 2020年2月1日 『イヌと筋ジストロフィー@ 概論』








 イヌと筋ジストロフィー@ 概論



2020年2月1日

皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。


 前回までに歩行異常を惹き起こす神経変性疾患であるイヌの退行性脊髄症  Degenerative  Myelopathy  (DM)  について3回に亘り採り上げました。歩行失調、運動失調に関する疾病のお話ををもう一つ続けたいと思います。


 さて、我々は普段何気なくカラダを動かしていますが、

  @運動を発令する信号を出す脳、

  Aその指令信号を筋に伝える神経、

  B指令を受けて収縮を行い力学的パワーを出力する筋

  C筋の「感覚」を脳に戻す神経

  D筋収縮発現の支持媒体となる骨と周辺組織、


 これらが正しく組み合わさって円滑な運動が可能になっています。

 この内のいずれか1つが障害を起こすと運動機能障害が発生します。退行性脊髄症 DMの場合はAとCに障害が発生する疾患ですし、また変形性股関節症はDが原因ですね。今回は、神経筋変性疾患の1つですがBの障害詰まりは筋そのものに起因する疾患の1つ、筋ジストロフィーについてお話を進めます。

 獣医療としてのイヌの筋ジストロフィーが本コラムのメインターゲットですが、ヒトの筋ジストロフィーの研究が進み知見が積み重ねられていること、そして同じ哺乳動物のイヌにそれを当て填めて考える(外挿 がいそうと言う)ことが出来ることから、ヒト、イヌ区別無く扱います。しかしながら、実際のところ、イヌのブリーダーが脆弱で異常のある子犬を市場に出す前に淘汰してしまうこと、また経済的な負担のもとで遺伝子検査をしてまで確定診断を得る例が少ないため、イヌの筋ジストロフィーは確実に存在するものの獣医臨床面では稀な疾患となります。

 治療の項で述べますが、最終的にヒトに適用する目的で、大型の動物としてのイヌの筋ジストロフィー個体に対し、考えられた治療法が有効かを検証する試みが行われ、それが一部成功したとの最近の論文が2018年に出ました(のちほど紹介します)。寧ろそれを契機としてイヌの筋ジストロフィーが逆に脚光を浴びる形かと院長は思います。イヌの筋ジストロフィーはどうもヒトの治療の為の研究用途としての位置づけの色彩が強いですね。

 全8回に亘り、筋ジストロフィーの話題を採り上げます。後半の分子治療の項で遺伝子改変技術についても触れていますので、筋ジストロフィーのみならず他の疾患、例えばガンに対する最新の治療法への理解にも繋がると思います。是非最後までお付き合い下さい。






Greece: Back on all fours - dog with muscular dystrophy gets custom wheelchair

2017/05/03

A dog affected by muscular dystrophy can finally walk around with ease

thanks to a special wheelchair built by Vassilis Tzigkouras, a former plumber

from Athens who demonstrated the little vehicle on Wednesday.

https://youtu.be/JzWAl78TB94

「アテネ出身で以前配管工をしていたVassilis Tzigkourasが特別な車いすを作って

くれたお蔭で、筋ジストロフィーに罹患しているイヌが楽に歩けるようになりました。」


パイプの加工が得意なわけですね。但し、このイヌが重度の神経筋変性疾患

の1つに罹患していることは確実ですが、筋ジストロフィーであると遺伝子 or

筋生検レベルで確定診断されたのかは不明です。四肢筋量は落ちていますが、

肋間筋が落ちて肋骨が浮き出る段階にまでは進行していません。


ちなみにナマケモノは地表では四肢で体重を支える筋力がなく、這いつくばり

で前に進むことになります。浮力の助けのある水中では泳ぎは可能ですが、

これはイヌの筋ジストロフィーの運動療法に対するヒントを与えるものと

院長は考えています。

2019年3月10日の院長コラム『働き者のナマケモノ』をご参照下さい。

https://www.kensvettokyo.net/column/201903/20190310/






筋ジストロフィーとは



  筋ジストロフィー Muscular Dystrophy (MD) とはどの様な疾患でしょうか?

 ヒトの難病としては誰でも聞いたことのある疾患名だろうと思います。院長が子供の頃にもこの患者さんのドキュメンタリーをTVで見た記憶があります。20位の患者さんでしたが、言い残したいことを父親に筆記して貰っている場面が映し出され、最後は父親が外出中に息絶えてしまい父親が葬儀の場で涙ぐんでいるシーンで終了しました。大変重い内容の番組であり、40年程の時間は経過したものの院長の記憶に鮮明に残っています。他にも少年漫画誌(少年マガジンだったか?)の子供向けの記事としても採り上げられていました。兄弟揃って発症したが、浮力の効く風呂に入りボクシングの真似事をして遊んでいるとの記事でしたが、その兄弟も程なくして亡くなられたことでしょう。院長が小学生の時でしたが、既に筋ジストロフィーが伴性遺伝で発症し男児のみが罹患するとの大雑把な知識はありました。

 本疾患は横紋筋が変性消失し、再生もほぼ不可能ですので、進行すると心筋や呼吸或いは嚥下に関与する筋までもが冒され、特に前の2つの機能低下は致命症となり得ます。単に手足が利かなくなり移動が出来なくなる程度の話ではありません。呼吸筋(肋間筋、横隔膜、腹壁を構成する筋)が機能を果たせなくなった場合はALSの患者さんと同様に人工呼吸装置を利用すれば対応出来ます。しかし心筋の変性と脱落でポンプ機能が低下した場合(慢性心不全)には心臓移植しか現況では考えられませんが、全身状態が悪く呼吸機能も低下を見ていることからその適用は考えられないでしょう。術後の強力な免疫抑制剤の投与にも耐えられないのではと思います。上に述べた @ A C D が正常ですが B が異常を来す疾患です。

 この疾患は筋肉の細胞本体である筋線維を構成する部品であるタンパク質が遺伝子の異常に拠り作られず、やがては筋線維が破壊され、脱落、消失することがその本態です。ジストロフィー dystrophy とは異栄養(症)、栄養失調、栄養障害を意味する医学用語であり、外見的にやせ細るとの意味ですが、実際には栄養の障害では無く筋線維自体の自己変性と脱落に起因して筋肉量が減少しますので、栄養障害とは本来別のものですが、この名が使い続けられています。


https://www.etymonline.com/word/dystrophy

dystrophy

also distrophy, "defective nutrition," 1858, from Modern Latin dystrophia, distrophia, from  Greek  dys- "hard, bad, ill" (see dys-) + trophe "nourishment" (see -trophy).


 1858年にギリシア語の dys -(困難、悪い、病気)と trophe (栄養)から作られた新ラテン語  dystrophiaに由来する言葉です。当時は筋ジストロフィーの本態が解らなかったのですが、まぁ、確かに外見上は低栄養に見えます。

 発音的にはディストロフィですがジストロフィーと記述されます。院長が子供の頃にはウォルト・ディズニーとは言わずにウォルト・ジズニーと言っていましたので、本疾患の日本語名も相当昔からの命名だったことがうかがえます。筋ジスと略称されることもあります。