Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               

























本コラム作成の為の参考サイト:

https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ


https://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidae










ネズミ科


https://ja.wikipedia.org/wiki/ハツカネズミ

https://en.wikipedia.org/wiki/House_mouse


https://www.mun.ca/biology/scarr/Robertsonian_fusion_in_Homo.html




































































































































































































































































 院長のコラム 2020年4月10日 ネズミの話F日本の野生ネズミV








 ネズミの話F 日本の野生ネズミV



2020年4月10日

 皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 本邦に棲息する野生のネズミの第三弾です。ネズミ科に属する ハツカネズミを紹介します。






Mouse giving Birth 01, House Mouse and her Babies

2012/02/24 ojatro

Female house mice have an estrous cycle that is 4--6 days long, with estrus itself

https://youtu.be/2ts6qo_2fYY

ハツカネズミの出産


出産後母親が羊膜を破り胎盤、臍帯を食べています。新生仔は

耳介も見られず目も皮下に埋没しているのが観察出来ます。






ハツカネズミ  House mouse  Mus musculus


 ハツカネズミは野生動物として生存もしていますが、人間の生活環境の場で棲息する個体数の方が野生のものよりは多いのが実状です。船の移動に伴い本邦にも史前移入種として到来し、草地、畑のみならず家ネズミとして全ての島嶼に棲息しています。院長は数年前に文京区本郷3丁目の東大横の医学機材、理化学機器問屋街を歩いている時に灰色の毛色のハツカネズミを目撃しましたが、こんなところにも居るのかとちょっと驚きました。もっとも、大型のドブネズミが深夜、早朝に渋谷駅のJRガード下辺りをのそのそ歩いているのを目撃などする率に比べると、実物を目にする機会はそれほどでもありません。野生ネズミ field mouse として扱うべきかは微妙なところがあるのですが、人家を離れても棲息可能な点を踏まえ、この項で扱いますね。当然のことですが、元々は人類とは別個に棲息し、進化を遂げてきた動物です。アジア(おそらく北インド)原産ですが紀元前13000年には東地中海域に拡散しましたが、他のヨーロッパ地域に広がったのは紀元前1000年頃です。このタイムラグの理由ですが、ハツカネズミがヒトの一定規模以上の農業定住地を必要とするからと考えられています。これ以降、人間に伴い地球上に広がりました。植民に伴い離島にも拡散しました。例えば、ヒトが入植する以前にはニュージーランド島には哺乳類は2種類のコウモリ以外棲息していませんでしたが、ハツカネズミの侵入に拠り、鳥と食餌が競合し、爬虫類を殺したり、昆虫が影響を受けるなどしています。因みにニュージーランドにはキウイなどの他に飛べないオウムであるフクロウオウムも棲息するなど、地上性哺乳類の侵入していない土地固有の動物相を示し大変興味深いのですが後日別項で扱う予定です。

 サイズは頭胴長約75〜100mm、尾長約50〜100mm、体重約 40〜45g ほどで、毛色は野生状態で灰色、薄茶から黒までと変異に富みます。背中は赤茶色、腹部は白色〜クリーム色を呈します。飼育下の個体では全身が白色、シャンパン色から黒色へと亘ります。

 尻尾に毛は少なく、耳や手足と共に放熱機関としても機能します。動静脈吻合の存在で尻尾の皮膚温度を環境温度に合わせてコントロール可能であり、10℃も上昇させる事が出来ます。この動静脈吻合についてはホッキョクギツネのコラムでも触れましたが、確かマグロなどの魚類にも観察されている筈です。いずれも体熱制御装置として機能します。

 尻尾の長さは生息環境の影響を受け、寒冷な地域で成長すると短くなります。尻尾は登攀時走行時にバランサーとして利用されますし、両足と尻尾の基部を3点支持をして立ち上がることも出来ますが、これらは他の哺乳類でもしばしば観察され特筆すべき動作でもありません。他のハツカネズミに出会ったときには尻尾で優劣の情報を示します。ニホンザルでもボスザルは尻尾を挙げていますが何か似た様なシグナルを送るのでしょうか?






https://www.mun.ca/biology/scarr/Hominoid_synteny3.jpg

  Humans have 2n=46 chromosomes, as compared with 2n=48 in all of

our other closest relatives, the Great Apes (Chimpanzee, Gorillas, and

Orangutans). Whereas Chromosome 2 is a single, large sub-metacentric

in humans, the other apes have two smaller, acrocentric chromosomes.

Comparison of banding patterns allows these chromosomes to be aligned,

and shows that during human evolution the ancestral chromosomes have

undergone an end-to-end Robertsonian fusion to form a single larger

chromosome. The gene contents of chimp and human chromosomes are

substantially identical [note that the bands are conserved]. Molecular

inspection of the area in the human 2q1.2~1.4 region shows telomere-like

DNA sequences from the chimp chromosomes, as predicted.

Figure & text material (c) 2016 by Steven M. Carr


大型類人では染色体数は2n=48本ありますが、ヒトでは2番の染色体が大型の

ものとなっており、ヒトへの進化の過程で大型類人の染色体2つがロバートソン融合

に拠り融合したものであることが分かります。この結果2n=46本となりました。

融合した部分にチンパンジーの染色体のテロメア(細胞分裂の度に長さが磨り減る、

言わば分裂回数に制限を与える部分)に似た部分があることが分かりました。






 通常の豆粒大の胸腺を胸に持つ他、頸部の気管の横に針頭大の第2の胸腺を持っています。染色体数は40個ですが、西ヨーロッバには染色体がRobertsonian fusion ロバートソン融合(2つの異なる染色体の短い方の部分同士が結合する現象)由来の融合を来たし、染色体数の少なくなった数多くの個体が存在します。

 常に垂直な壁面に接していると安心するとの接触走性 thigmotaxisを持つと考えられていますが、これはモグラが常にトンネルの壁面に触れていると安心するのに似ています。ヤドカリが殻に収まっていないと落ち着かないのも同様でしょう。手持ちぶさたなる言葉が有りますが、ヒトに於いて<ご先祖様が枝を握っていたり物に捕まっていた手が空いてしまうと落ち着かなくなる>ことを意味するのではと院長は考えています。まぁこれが理由でご婦人がハンドバックを握っていたり、聖徳太子が杓を握っていたりするのかもしれません。

 野生下では通常1年以下の寿命ですがこれは厳しい生存環境に生き、また高頻度で捕食される為です。飼育下では2,3年は生きます。何らの遺伝的操作、薬剤投与、食餌投与しなかった個体が4年3ヶ月生きた記録があります。

 縄張りを持ち、互いに縄張りを尊重し侵入しません。一匹の優勢な雄が数匹の雌と子供を従えて生活します。

 ハツカネズミは捕食者であるドブネズミやクマネズミを怖れますが、森の中などではこれらが共存する場合もあります。一般的には他の動物との競合には弱く、人里を離れては生存できません。衛生害虫などと同じく片利共生ですね。

 雌の発情周期は4〜6日ですが発情自体は1日未満です。数匹の雌を込みいった環境で飼育するとしばしば全く発情を示さなくなりますが、雄の尿に晒されると72時間後に発情に入ります。雄は雌が発するフェロモンを感じ取り、雌の匂いを嗅いだり後を付けながら30kHz〜110kHzの超音波を発して求愛しますが交尾中にはこれは続けられます。交尾後に雌にはプラグが出来ますが、これで丸1日程度次の交尾が妨げられます。妊娠期間は19〜21日で3〜14頭を出産しますが、6〜8頭が平均です。雌は年間に5〜10頭を出産しますので文字通りのネズミ算式に数が増えます。野生下のものは冬場は生殖しませんが人家の個体は周年繁殖します。仔ネズミは生後21日で離乳し、6〜8週齢で性成熟します。

 ハツカネズミと感染症、特にzoonosis 人畜共通感染症については、のちほど<ネズミと感染症>の項で扱います。また、実験動物としてのハツカネズミに関しては<ネズミと飼育>の項で扱う予定です。







Of Mice and Men (10/10) Movie CLIP - George Shoots Lennie (1992) HD

2013/07/31

Of Mice and Men movie clips: http://j.mp/11bM1sk

https://youtu.be/5Ddap2Pyhtw


スタインベック『二十日鼠と人間』の最後のシーンです。

大恐慌時代の米国風景が淡々と描かれます。タイトルが

何を象徴しているのか考えてみてください。