Ken's Veterinary Clinic Tokyo

相談専門 動物クリニック

                               


























https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ


https://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidae







https://en.wikipedia.org/wiki/Caviidae

https://ja.wikipedia.org/wiki/テンジクネズミ科


https://ja.wikipedia.org/wiki/カピバラ

https://en.wikipedia.org/wiki/Capybara


https://en.wikipedia.org/wiki/Hydrochoerus

https://en.wikipedia.org/wiki/Lesser_capybara











 院長のコラム 2021年6月5日


 軟骨魚類の羽ばたきロコモーションA  エイとは何か








軟骨魚類の羽ばたきロコモーションA エイとは何か




2021年6月5日

 KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。その第38回目です。運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。

 ウミガメの様な羽ばたき型の遊泳ロコモーションを示す各種の動物をこれ以降見て行きましょう。




以下本コラム作成の為の参考サイト:


https://ja.wikipedia.org/wiki/板鰓亜綱

https://en.wikipedia.org/wiki/Elasmobranchii


エイ上目

https://ja.wikipedia.org/wiki/エイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Batoidea



https://en.wikipedia.org/wiki/Rajiformes

https://ja.wikipedia.org/wiki/ガンギエイ目


ガンギエイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Skate_(fish)


呼吸孔

https://en.wikipedia.org/wiki/Spiracle_(vertebrates)



https://en.wikipedia.org/wiki/Electric_ray

https://ja.wikipedia.org/wiki/シビレエイ目


https://en.wikipedia.org/wiki/Lesser_electric_ray



https://ja.wikipedia.org/wiki/トビエイ目

https://en.wikipedia.org/wiki/Myliobatiformes


マダラトビエイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Spotted_eagle_ray


アカエイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Stingray


https://ja.wikipedia.org/wiki/アカエイ科


日消外会誌  37(2):198〜201,2004年エイ刺傷により腸管脱出をきたした 1 例

日本医科大学大学院医学研究科臓器病態制御外科学(第 1 外科) 柏原  元ら

http://journal.jsgs.or.jp/pdf/037020198.pdf


https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/22-外傷と中毒/刺咬症/アカエイによる刺傷


トビエイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Eagle_ray


https://en.wikipedia.org/wiki/Manta

https://ja.wikipedia.org/wiki/オニイトマキエイ



https://en.wikipedia.org/wiki/Rhinopristiformes

rhino + pristi = nose  + scie 鼻がノコギリ


ノコギリエイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Sawfish


https://en.wikipedia.org/wiki/Rhinobatos


ギターフィッシュ

https://en.wikipedia.org/wiki/Guitarfish

https://en.wikipedia.org/wiki/Rhinopristiformes


https://ja.wikipedia.org/wiki/サカタザメ

https://fr.wikipedia.org/wiki/Rhinobatos_schlegelii


https://ja.wikipedia.org/wiki/シノノメサカタザメ

https://en.wikipedia.org/wiki/Rhina_ancylostoma


Development and Evolution of Dentition Pattern and Tooth Order

in the Skates And Rays (Batoidea; Chondrichthyes),  L. Viriot, et al.

April 2015 PLoS ONE 10(4)

https://www.researchgate.net/publication/294582924

_Development_and_Evolution_of_Dentition_Pattern_and_Tooth_Order_

in_the_Skates_And_Rays_Batoidea_Chondrichthyes


Bibliography Database of living/fossil sharks, rays and chimaeras

(Chondrichthyes: Elasmobranchii, Holocephali)

https://shark-references.com/







Fig 9from"Development and Evolution of Dentition Pattern and Tooth Order in  the Skates

And Rays (Batoidea; Chondrichthyes)" .L. Viriot, et al. April 2015 PLoS ONE 10(4)


https://www.researchgate.net/figure/Phylogeny-of-the-Batoidea-and-selected-outgroups

-with-positions-of-dental-development_fig9_294582924


歯牙形態とサメ・エイの仲間の系統分類との対比。一番上がギンザメ、ついでサメ、残りがエイの

仲間です。エイの仲間は基本的に偏平化した体型ですが、ノコギリエイの様にサメ型のものや、身

体の前半がエイ型でも後半がサメ型のものなどバリエーションが見られます。上から6番目の

Zapteryx は遺伝学的解析から現在は下から3番目の Rhinobatos に分類されます。







エイとは何か



 軟骨魚類の仲間からまず4億年以上前に全頭亜綱 Holocephali (頭が身体の前半分を占める頭でっかちの魚で、現生種はギンザメの仲間のみ、鰓穴は1対のみ)と板鰓亜綱 Elasmobranchii(鰓穴は5対以上)とが分離し、次いで板鰓亜綱からサメ (鰓穴が体幹の側方に開く)と広義のエイ(鰓穴が体幹の腹側に開く)に分離し今日に至っています。エイの仲間を総称する Batoidea エイ上目は、bat + oid = コウモリみたいな、の意味の通り、海水中を羽ばたいて遊泳しますが、特に底生から二次的に脱却して海中遊泳生活に入ったトビエイやマンタでは空飛ぶ絨毯を思わせる堂々たる海中飛翔を見せて呉れ、圧巻です。

 サメなどと同様に、発達した尻尾を用い体幹を左右にくねらす方式のロコモーションを採るものも含まれますが、典型的なエイの仲間は、一般的に身体が偏平化すると同時に、胸びれが大きく発達し頭部から尻尾までの間、身体の側方に伸展しており、これを波動させて前進します。

 エイの仲間は4つの order 即ち目 (もく)から構成されます。Rajidae ガンギエイ Skate  (ガンギエイ目)が祖先系に一番近く、次いで Platyrhinidae ウチワザメ (シビレエイ目)、更に Myliobatidae (トビエイ Eagle_ray、アカエイStjgray を含む)  トビエイ目が分岐しました。ここまではいわゆるエイ型の体型ですが、シビレエイの仲間は尻尾が中程度に発達を遂げています。最後に ノコギリエイ Sawfish やギターフィッシュ Guitar fish を含む Rhinopristiformes目(rhino + pristi = nose  + scie 鼻がノコギリの意味ですのでノコギリバナ目とでもしておきましょうか) が派生しました。この最後の仲間は尻尾が大きく発達して体型が細長くなり、身体の前半のみ他のエイの形をしているか、或いはノコギリエイは更にサメに接近した姿をしています。Zapteryx はエイ型を呈していますが、遺伝学的解析により、最後のエイもどき風の仲間 Rhinopristiformes目 に分類されています。以上、エイの仲間は4つの大きな仲間から構成されます。尚、エイの分類についてはまだ完全な定見無く、一部の分類が揺れ動いていますので、上に述べたことも今後変動する可能性があることをお含みおき下さい。






https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/45/Raja_pulchra.jpg OpenCage.info,

CC BY-SA 2.5 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.5>, via Wikimedia Commons


メガネカスベ  Raja pulchra。東北、北海道では冷凍されて棒状にカットされたものがカスベと

称されて頻繁にスーパーに並びます。尻尾にトゲは無く卵生です。名前の通り高級魚ではあり

ません。大量に漁獲された時には肥料にされたのかも知れません。ガンギエイ目。




Lesser electric ray (Narcine bancroftii)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b7/Fish4345_-_Flickr_-_NOAA

_Photo_Library.jpgSEFSC Pascagoula Laboratory; Collection of Brandi Noble,

NOAA/NMFS/SEFSC., Public domain, via Wikimedia Commons


ヒメシビレエイ。デンキナマズ、デンキウナギ、シビレエイは発電魚の御三家です。うっかり素手

で掴む事も出来ませんね。尻尾はやや発達傾向にあり、尾びれを備えて居て尻尾を左右に振っ

て推進力を得ています。14−37Vを発電します。シビレエイ目。




Spotted eagle ray  (Aetobatus narinari)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Spotted_eagle_ray_1.JPG

Nicholas Lindell Reynolds, CC BY-SA 4.0

<https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons


マダラトビエイ。汎世界的に熱帯域に棲息します。名の通り、水中から空中に向けて良くジャン

プします。空中飛翔すべくトリを目指しているかの様です。これが船に飛び込み女性が亡くなる

事故が起きています。観察する方も留意せねばなりません。尻尾が索状で非常に細いです。

日本近海では近縁のナルトビエイに拠る漁業被害が近年問題になっています。トビエイ目。




https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/69/Rhinobatos

_rhinobatos.jpg/512px-Rhinobatos_rhinobatos.jpg c Citron


Common Guitarfish  Rhinobatos rhinobatos

コモンギターフィッシュ。ノコギリエイに近い仲間のエイで、いわゆるエイ型のものとは異なり、

尻尾が強大に発達します。前半分がエイ、後ろ半分がサメですね。尻尾を左右に振って推

進力を得ますが尻ビレが備わっています。これに近縁なサカタザメは本邦で食用とされま

すが下魚扱いですね。ノコギリバナ目。






 エイの中では一番古い系統のガンギエイでは、口と鰓穴が腹面にあるものの、砂泥中に潜っても呼吸が出来る様、目のサイドに呼吸孔 Spiracle を備えて居ます。この穴から海水を吸い込み、腹面の鰓穴から吹き出し、呼吸します。アカエイの仲間にはこれは退化傾向を示します。因みに、サメでは口から海水を取り入れ体幹側面の鰓穴から海水を出して呼吸しますが、これは硬骨魚類などと同様です。

 ガンギエイとアカエイは共にポビュラーなエイの仲間ですが、違いは幾つかあります。ガンギエイは卵生で強靱な鞘に入った大きな卵を生みます。東京湾岸でも嵐の後などで浜辺でこの卵の鞘の抜け殻を拾うことも出来ます。これに対し、アカエイは卵胎生で、小さなエイを生みます。実はエイの仲間ではガンギエイのみ卵生であり、他の全てのエイの仲間は卵胎生です。アカエイでは頭部の前方左右にもヒレが発達しますがガンギエイでは頭部左右のヒレの発達は弱く、外形から2つの区別は極めて容易です。ガンギエイはやや深目の海底に棲息します。ガンギエイの尻尾は肉質でトゲはありませんが、アカエイでは stingray の名の通り有毒なトゲを備えます。アカエイは浅い海に棲息することが多く堤防釣りでも釣れることがあり、毒のあるトゲの扱いが厄介ゆえ嫌われ者となっています。尻尾を振り回しますが、刺されると重症化する場合がありますのでけして侮れません。院長も以前打ち上げられたアカエイの死体からトゲを引っこ抜いてみましたが、キチン質のオレンジ色掛かった半透明の偏平なトゲであり、鋸歯状の刃が付いていました。アカエイ類の毒素に関しては以下の記述が役立ちます:

 日消外会誌  37(2):198〜201,2004年エイ刺傷により腸管脱出をきたした 1 例、柏原  元ら

http://journal.jsgs.or.jp/pdf/037020198.pdf に拠ると、

 「エイなどの海洋生物が有する毒の成分は一般に粗毒と総称される蛋白・高分子ペプチドで,極めて不安定なため解明が進んでいないのが現状であるが serotonin,5-nucleotidases,phosphodiesterase活性が確認されており,これまでに 10 種類のアミノ酸が同定されている5)〜9).毒による局所症状としては激しい痛み,腫脹,内出血,知覚異常などがあり7)〜12),またしばしば壊死に陥る3)13)14).全身症状は,悪心,嘔吐,痙攣,血圧低下,呼吸困難,不整脈15),などで,時として死に至ることもある7)〜12).エイ毒はタンパク毒であるため,創部洗浄,デブリードマンの他に40〜45°Cの温浴を30〜90 分間かけて行うことが特異的な効果をもつ1)〜17)」


 とされており、2004年時点では毒性分の解明が進んでいないとのことです。毒素としては不安定であり、蛇毒のように完成度の高い進んだものでは無いと言うことでしょうか?

 エイ全般に見られる偏平な身体は、ほぼ海底に貼り付いて生活し、腹面に位置した口で砂泥中の餌を食べる方向に初期段階で特殊化したと考えて良く、周囲にヒレを拡大したのは、体幹を海底に接着したままその波動で前進する為の適応形態と判断して間違いでは無さそうです。

 それが後に、トビエイの仲間の様に胸びれを発達させて完全な浮遊生活性−水中飛翔−空中ジャンプまでも−を獲得したり、或いは尻尾を強大化させて前方推進力を強化するタイプ (ノコギリエイなど、これは海底に沿う性質をまだ色濃く遺しています)へと二次的な適応放散を遂げたのでしょう。日本近海にも棲息するシノノメサカタザメは大型化し、サメ型の後ろ半分の姿を左右に強力に振り前進しますが、殆どサメにしか見えません (各地の水族館で多く飼育されます)。しかしながら鰓穴は身体の腹側に開いており、また歯はサメのような鋭利な三角形のものが配列せずに、他の一般的なエイの様なすり潰し型タイプです。アカエイでは上に述べた様に呼吸孔 は消失傾向にあります。即ち、砂泥の埋没生活形態から<脱出>し始め、海中遊泳性を幾らか強化している訳です。この様に、エイの仲間は体型、またロコモーション的に多様性に富み、面白いグループに見えます。院長は大学の専門課程に進学する際に、獣医学科に進むか水産学科に進むか迷ったのですが、仮に水産学科に進学していたら、獣医学科とはまた違った面白い経験が出来ただろうと思います。今頃は魚専門コラムでも執筆しているかも知れません・・・。