Ken's Veterinary Clinic Tokyo

相談専門 動物クリニック

                               


























https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ


https://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidae







https://en.wikipedia.org/wiki/Caviidae

https://ja.wikipedia.org/wiki/テンジクネズミ科


https://ja.wikipedia.org/wiki/カピバラ

https://en.wikipedia.org/wiki/Capybara


https://en.wikipedia.org/wiki/Hydrochoerus

https://en.wikipedia.org/wiki/Lesser_capybara











 院長のコラム 2021年6月25日


   羽ばたきロコモーション 海鳥A








羽ばたきロコモーション 海鳥A




2021年6月25日

 KVC Tokyo 院長 藤野 健です。

 カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。その第42回目です。運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。

 ウミガメの様な水中羽ばたき型の遊泳ロコモーションを示す各種の動物を引き続き見て行きましょう。




以下本コラム作成の為の参考サイト:


https://en.wikipedia.org/wiki/Auk

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウミスズメ科


https://en.wikipedia.org/wiki/Tufted_puffin

https://ja.wikipedia.org/wiki/エトピリカ


https://en.wikipedia.org/wiki/Horned_puffin

https://ja.wikipedia.org/wiki/ツノメドリ


https://en.wikipedia.org/wiki/Common_murre

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウミガラス


https://en.wikipedia.org/wiki/Cape_gannet

https://ja.wikipedia.org/wiki/ケープシロカツオドリ


https://ja.wikipedia.org/wiki/ウ科

https://en.wikipedia.org/wiki/Cormorant


https://ja.wikipedia.org/wiki/ウミウ

https://en.wikipedia.org/wiki/Japanese_cormorant








Puffins Pick the Perfect Home 2015/04/23 Nature on PBS

Puffins compete for the perfect piece of real estate where they can raise their  young.

https://youtu.be/vu5uVaepTn0

北大西洋海域に棲息するニシツノメドリの営巣地と飛翔シーン。全く問題無く空中飛翔が

可能です。しかしながらもの凄い個体数の集団ですね。




The Secret Lives Of Puffins (Wildlife Documentary) | Puffin Patrol | Real Wild

2020/11/04 Real Wild

Puffins are full of character and are loved by people across the globe. But many  aspects

of their lives remain unknown and they have rarely been filmed in detail. This film  explores

the colourful and intriguing world of Atlantic puffins, offering viewers a front row  seat  to

puffin life in eastern Newfoundland and remote locations in Wales and  Maine.

https://youtu.be/mpRXR8PyZW8

スローモーション画像含めエトピリカの空中飛翔シーンが見られます。北米東岸ではニシ

ツノメドリの保護活動が盛んに行われている様ですね。




Master Predators of the Sea | Land of 10,000 Grizzlies 2015/09/24 Nat Geo  WILD

Each summer, Tufted Puffins arrive off the islands of Kamchatka to nest and take  advantage

of the abundance the Bering Sea has to offer. Ungainly fliers, Puffins are master  predators

under the waves. https://youtu.be/8vQAQLnwZl8

エトピリカは空中飛翔の時は翼を左右に大きく開いて羽ばたきますが、水中飛翔では幅を狭め、即ち

幾らか翼を折りたたんだ状態でゆっくり力を入れて羽ばたくのが見て取れます。





 

エトピリカのロコモーション



 エトピリカは海鳥として勿論空中の飛翔は問題無く出来ますが、高高度を長距離渡ることはなく、或る程度の海域内に於いて、基本的に海面からそれ程離れることなく飛翔します。春になると集団営巣地となる断崖絶壁に多数が集まり周辺を群舞しますが、繁殖期以外は基本的に陸に下りず、空中か、海面のみで生活を送ります。エトピリカの飛翔がぎごちないと述べる者も居ますが、動画像を確認する限りでは、不器用だとは全く思えません。空中飛翔時には翼を左右にフルに広げて羽ばたきますが、気流に乗り、翼を広げたまま静止させて滑空する姿も確認出来ます

 水中に潜水するトリには、例えばカワセミの様に水中の小魚を確認し、それをめがけて空中から急降下して一瞬の内に餌を捕獲し、Uターンして水を蹴って飛翔する方法を取るものもいれば、矢の様に垂直急降下して或る程度の深さに潜水し、そこから羽ばたき、そして足で水を押して水平移動するタイプのケープシロカツオドリ Morus capensisの様な潜水法も観察されます。エトピリカは、この様に勢いを付けて空中から海水に突入する様な行動は取りません。一旦海面上に舞い降りて、水面にプカプカと浮かび、そこからおもむろに頭を海水に突っ込んで潜り、翼と足で潜水して垂直方向に、また水平方向に水中遊水して餌を見つける方法を採ります。空中から低速のままに水中に飛び込んで潜水を開始する例も観察されます。






Gannets Plunge into the Sea 2012/01/11 Smithsonian Channel

Diving into the ocean, the Cape Gannet adopts an aquatic version of flight, an  unbelievable

sight you have to see to believe. https://youtu.be/D8vaFl6J87s


ペリカン目カツオドリ科に分類されるケープシロカツオドリMorus capensis の潜水動作。

矢が海面に突き刺さるように潜水(急降下式潜水 plunge-dive)しますが、羽ばたきは行うもの

の、エトピリカに比較すると高速度直進型であって、ゆっくりと<余裕>を持って水中飛翔する

姿ではありません。海面に突入するのは高い運動エネルギー状態のままに一気に潜水深度と

遊泳速度を稼ぐ作戦です。





エトピリカ&ウミガラスの給餌 (葛西臨海水族園)Tufted Puffin & Murre Feeding  Time

2018/06/11 manyamou  (葛西臨海水族園にて。2018年4月撮影)

https://youtu.be/3wA6SFbb2sU

水中での細やかな方向転換が巧みであり、薄目で見るとペンギンが遊泳する姿によく似

ていることに気が付きます。




Lookin' Good, Tufted Puffin! | The Critter Corner 2019/09/11 Monterey Bay  Aquarium

When life gets you huffin', time to relax and appreciate a puffin! Enjoy a quick cut  of  our

tufted puffins swimming, diving and feeding at the Aquarium. https://youtu.be/QEWlHRhgwKA

モントレー湾水族館にて飼育展示中のエトピリカ。翼の羽ばたきとヒレを備えた足の押し出しで前方

推進力を得ています。空中飛翔の場合は翼を左右に大きく広げますが、水中では開く幅を縮めて

羽ばたく様に見えます。足の蹴りでも推進力と舵取りを行っている事が見て取れます。




鵜ウミウの潜水 2011/02/28 funsea17

鳥の「う」鵜が水中に潜り餌を取る様子。静岡県沼津市 伊豆大瀬崎にて。

https://youtu.be/VqviwmbijqM


エトピリカやケープシロカツオドリと大きく異なり、潜水中に翼は全く利用せずに折り畳んでいます。

足の動作のみで強力な推進力並びに舵取りを果たしています。しかし良く息が続くものですね。





 

 エトピリカは空中では翼を左右に大きく広げて飛翔或いは滑空しますが、一方、水中では翼の左右の幅を縮めた上で左右対称的に力強く羽ばたいて進みます。舵取りは左右の翼の開く幅や傾き、或いは足のヒレの開閉や左右差などを調整して行っている様に見えますが、小回りの利く遊泳動作です。詳細については今後の画像解析が更に必要に思われます。水中で羽ばたいて進む姿は遠目には空中を自由に飛翔している姿を十分に想起させる姿であり、ペンギンの遊泳にもよく似ています。

 エトピリカのこの遊泳ロコモーション比較すると、ケープシロカツオドリのそれは、更に翼を縮め、より直線的な大きな動作が多く、ゆっくりと水中飛翔し、細かに方向転換する姿ではありません。ケープシロカツオドリが突入のエネルギーを利用して潜水するのに対し、エトピリカの方は、翼と足を利用した自力潜水方式とも言えるでしょう。

 因みに潜水して魚を捕獲するトリにはウの仲間 (これはカツオドリに近い仲間) が居ますが、ウミウ Japanese  cormorant Phalacrocorax capillatus の海中潜水動画を見ると、羽ばたきは一切行わず、足の動作のみで前方推進力を得ると同時に舵取りも巧みに行っています。これから類推すれば、エトピリカやケープシロカツオドリの足が遊泳中に同様な役割を果たしているのは間違いがなく、しかもそれはけして無視し得ないほどのパワーを産生していることを予想もさせます。