Ken's Veterinary Clinic Tokyo

相談専門 動物クリニック

                               















































































































































































































 

院長のコラム 2019年2月19日 

『獣医師が取り扱う動物とは』







獣医師が取り扱う動物とは




2019年2月19日

皆様、KVC Tokyo 院長 藤野 健です

 近頃はエキゾチックアニマルを積極的に或いはもっぱらに、更には爬虫類を診療する開業獣医も存在します。では法律が規定する獣医師の診療動物とは何かをここで再確認しましょう。



獣医師法第十七条

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000186#D


獣医師法第十七条 獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない



更に、

平成四年政令第二百七十三号 獣医師法施行令(飼育動物の種類)

第二条

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404CO0000000273


第二条 法第十七条の政令で定める飼育動物は、次のとおりとする。

一 オウム科全種

二 カエデチョウ科全種

三 アトリ科全種



 との規定があります。


 オウム科はセキセイインコを含みます。カエデチョウ科は文鳥がよく知られていますね。アトリ科にはキイロカナリアが含まれます。要するに、愛玩用の飼い鳥として繁殖され一定の産業・経済規模を持っている鳥が指定されていることになります。同じ鳥でも、家禽のアヒル、ガチョウ、ハトは指定されていません国内で飼育されている絶対数が少なく、規定する意義が無いからなのでしょう。高級食材としてのフォアグラを採る為にガチョウを飼育している国では、もしかするとガチョウが指定されているかもしれませんね。各国の国情により、取り決めは異なるものと想像されます。





 


獣医師法第17条及び獣医師法施行令第2条が定める飼育動物


たったこれだけの動物種がその診療を業務とする場合に獣医師免許が必要な対象種となり

ます。地球上に棲息する鳥獣からすれば極く一部に過ぎないことがよく分かりますが、ヒトと

の関係性に於いて極めて重要な意義を持つものばかりです。これらの動物に関与して生計

を維持している者達の数は地球上で10億人は下らないでしょう。






 このリストに載らない、ヒトを除く哺乳動物やトリに関しては、別段獣医師の資格がなくとも、業として診療に当たってもそれ自体は何ら法的な違法性も罰則規定もありません。動物園の鳥獣も大方がこのリストには入りませんね。ウサギも該当しません。院長は仕事に入って最初の15年程度は霊長類を相手にあれこれ仕事をして来ましたが、これも獣医師としての資格は必要なかった訳です。

 とは言うものの、実際の診療行為を行うには、薬剤、医療機器、(注射針、注射筒など含めた) 医療関連消耗品等が欠かせませんが、免許が無いと業者側が何も卸しては呉れないでしょう。また薬剤に関しても獣医師免許が無ければ処方箋が書けませんので、飼い主側が外部の薬局等で薬を受け取ることも不可能です。この様な訳で、法律が規定する飼育動物以外に関しても免許無き者がこれを業とする事は事実上困難でしょう。







Black Jack The two doctors of darkness subtitulado en espanol

https://youtu.be/ILRb6m3fO8A


獣医師版ブラックジャックは存在しているのでしょうか?





 但し、ブラック・ジャックの様な、無免許ではあるが腕に覚えのある者(何らかの事情により過去に免許を失った者など)が、他の獣医師の協力の元に、規定動物以外の動物に対して<動物医>として業を営むことはおそらく可能ですね。もしかすると凄腕の獣医師版ブラック・ジャックが世界各地の動物園を渡り歩いているのかもしれません。

 相談専門であり診療行為は行わない立場の院長の仕事も、実は獣医師免許は特に必要は無いのですが、これも獣医師としての幅広い経験が無いとちょっと苦しいだろうと思います。また動物一般の質問についても、獣医学の深い観点からの対応が可能になると思います。外から鳥獣を見ているだけであれこれ発言する人たちと獣医師とは次元が違いますよ、と敢えて言わざるを得ません。勿論免許が無いとクリニックとしての正式な届けは受理されません。

 リスト掲載の動物を拡大して業務独占のワクを拡大するにしても、獣医学の専門教育課程で取り扱う種が増え対応できないことに加え、事実上獣医師が鳥獣を診ることになっていますので、敢えてリストアップしない面もあるのでしょう。