Ken's Veterinary Clinic Tokyo
相談専門 動物クリニック

                               


























https://ja.wikipedia.org/wiki/ネズミ


https://en.wikipedia.org/wiki/Dipodidae









https://en.wikipedia.org/wiki/Caviidae

https://ja.wikipedia.org/wiki/テンジクネズミ科


https://ja.wikipedia.org/wiki/カピバラ

https://en.wikipedia.org/wiki/Capybara


https://en.wikipedia.org/wiki/Hydrochoerus

https://en.wikipedia.org/wiki/Lesser_capybara













 院長のコラム 2021年1月1日 

 ロコモーションの話 ー トカゲの泳法









ロコモーションの話 ー トカゲの泳法




2022年1月1日

 皆様、新年明けましておめでとうございます。KVC Tokyo 院長 藤野 健です。本年もどうぞよろしく本コラムにお付き合い戴ければと思います。本コラムが、皆様が動物学の大海に泳ぎ出る為のささやかな湊となることを願っています。

 さて、カピバラと他の水棲齧歯類との運動特性の比較をこれまで行ってきました。最終的にビーバーの尻尾の扁平化の持つ機能的意義について考察しようと思いますが、その前に途中追加的にロコモーション関連の話をまた〜りと採り上げます。その第7回目です。

 運動性に関することですので、youtube からの動画資料を多くお借りしての解説です。<動>物ゆえ、動物の運動を本質的に理解する為には文章や静止画のみでは矢張り限界がありますね。文章での記述で分かり難いことが、動画を見ればドンピシャリで理解出来る面もあるでしょう。これはいわゆる従来の活字、図表のみに頼る成書或いは論文としての刊行形式(動物の運動性に関するもの)が、web 上での動画媒体の入手が容易になってきた現今ではその本質的な欠陥を改めて明らかにしつつあるのではと院長は考えて居ます。論文執筆者の主張している事が正しいのかを判定するベースとしての動画をまずは基礎資料として提示すべき筈です。三次元的な多様なデータを含む運動性からなぜ著者が自説を主張したのかの妥当性をレフェリー(査読者)や読者から問わせる為の前提と言う訳です。既に動画データを url で指定可能な論文も増えていますが、指定先の動画が消える可能性もあり、それでは正式な資料と為し得ません。やがては論文そのものの中に動画資料を収める電子媒体としての刊行が当たり前のものとなるのでしょうね。勿論、それらは必要にして十分な量に留めるべきで、ひょっとするとレフェリーから、お前の動画は不要なところがあるから削れ、などとの物言いが入る事などもありそうです。

 爬虫類についてのお話の3回目です。



本コラム作成の為の参考サイト:


https://ja.wikipedia.org/wiki/爬虫類

https://en.wikipedia.org/wiki/Reptile


https://ja.wikipedia.org/wiki/有鱗目_(爬虫類)

https://en.wikipedia.org/wiki/Squamata


https://ja.wikipedia.org/wiki/モササウルス

https://en.wikipedia.org/wiki/Mosasaurus


https://ja.wikipedia.org/wiki/魚竜

https://en.wikipedia.org/wiki/Ichthyosaur


https://ja.wikipedia.org/wiki/モロクトカゲ

https://en.wikipedia.org/wiki/Thorny_devil







Swimming Komodo dragon in Indonesia

2012/05/27 tamagogo5

Swimming Komodo dragon in Indonesia

https://youtu.be/Y0nOywMnFgE


水中では四肢を身体の横に据えて体幹の左右へのくねり動作のみで前方推進します。




Marine Iguanas are like Baby Godzillas

2017/03/30 Animalogic

Iguanas are one of the most amazing reptiles in the world, from their deep

dives in the Galapagos, to high speed chases with snakes, to their third eye,

the Iguana is deserving of the title.

https://youtu.be/ynT61_hLRZ0


海イグアナも地上性のグリーンイグアナも水泳時には四肢を体幹脇

に据えて体幹を左右にくねらせて進みます。グリーンイグアナは国内

繁殖された個体が比較的安価に入手出来ますが巨大化(と言っても

尻尾が全長の半分を占める)しますので覚悟が必要です。人工飼料

も用意されるなど飼育のノウハウは確立されていて爬虫類飼育の入

門編とも言えるでしょう。人に良く馴れます。






トカゲの泳法



 

 砂漠に棲息するトゲトカゲ(モロクトカゲ)などが果たして一生の間に泳ぐ機会を持つのかは不明ですが、島嶼から島嶼へと渡ったり、敵から逃れたり、或いは水中の餌を得る為に水泳や潜水を行うトカゲが散見されます。コモドドラゴンは海中を泳ぎ隣の島に渡ることが可能ですし、ウミイグアナは海中の岩の表面に生えた海藻を食べるために冷たい水の中を潜水します。前回ご紹介したバジリスクは泳ぐと言うよりはすぐに水上二足歩行に切り替え、水面を俊敏に移動しますので敵も手が出せないでしょう。また、絶滅してしまいましたが、モササウルスと言う海中生活に特殊化したトカゲの仲間が居て、四肢も魚類の鰭の様な形をしていました。

 現生トカゲの陸上移動ロコモーション時の四肢の動きは、魚類の鰭の動きを遺していると理解する事も出来ます。しかし、水泳時には四肢を身体の側面にピタッと据えて、体幹の左右へのくねり動作だけで進みます。詰まり、水中での四肢の、鰭としての役割は明確に捨てていることになります。魚の鰭と四肢は相同(=起源が同じ)ですが、一度歩行用に作り変えられた四肢が、両棲類では多少とも水中では役に立っている様に見えるのに対し、爬虫類では水中で用を果たさなくなる(カメの場合は体幹が甲羅で固まっているため四肢を利用するしかない)、即ち、陸と水で明確な機能の切り替えが進んでいるのが面白く感じます。






Fossil of Mosasaurus, an extinct mosasaur- Took the photo at Natural History

Museum of Maastricht

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a9/Mosasaurus_hoffmannii_-_skeleton.jpg

Ghedoghedo, CC BY-SA 3.0

<https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons


四肢特に前肢の手の部分が巨大な鰭となっています。モササウルス

とはトカゲがクジラ化したような生き物です。しかし肩甲骨がクジラと

同様に斧の刃の様な形をしているのが院長には興味深いです。体幹

を左右にくねらせながらパドリングしていたのかは不明ですが脊椎骨

を検証すればヒントが得られるやもしれません。目玉の様に見える骨

は眼球の鞏膜(きょうまく 眼球の白目を構成する膜)中に生じる骨で

現生爬虫類や鳥類(ニワトリにも!)にも普通に存在しています。




Jurassic World - Mosasaurus Feeding Show Scene (2015) Movie Clip 4K ULTRAHD

2020/06/02 Zero Media  c 2015 - Universal Pictures

https://youtu.be/CMWqiaNDhRs


巨大なワニを思わせる姿ですが、跳躍して餌を取るほどの推進力を

筋パワーが産生し得たのかには院長は疑問を持っています。体幹

を左右に振り推進力を得ていますが手足の鰭は推進力を得るよりは

舵取り役の色彩が強かったのかもしれません。






 これを考えると、モササウルスが四肢を鰭化してそれでパドリングして推進力を得、或いは舵取りをしていたのは、四肢をばたばたさせて推進力を得るバジリスクの様なトカゲが更に水棲に特殊化したものであって、同じトカゲの仲間ではあっても、四肢機能を水中と陸上とで切り替える他のトカゲとはちょっと違った方向に進んだ(この分化が生じる前に枝分かれして進化した?)生き物なのではと推測する訳です。モササウルスは体幹を左右にくねらせることで推進力を得ていたろうと思われますが、鰭化した手足は、推進力産生よりは舵取り役の比重が強かったかもしれません。モササウルスが恐竜と同時期に絶滅せずに生き残っていた場合、クジラの様に後肢を退化させる道を辿ったろうかと考えるのも楽しいですね。新たな魚竜の誕生と言う次第です。

 因みに水中生活に特殊化してイルカに似た身体にまでになった魚竜は、モササウルスとは全く系統の異なった爬虫類になります。恐竜やモササウルスが今から6600万年前に絶滅しましたがその2500万年前に魚竜は既に絶滅しています。






Fossil of a young Stenopterygius Ichthyosaur from the zoological museum

of Hamburg, photographed on September 2004, author: soebe

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ichthyosaur_fossil.jpg

This figure is on the present  web site under the terms of the GNU Free

Documentation License, Version 1.2 or any later version published

by the Free Software Foundation.


魚竜の化石です。頭蓋骨形状がイルカにそっくりで驚かされます。

脊椎骨が缶詰の様な形に連なりますがある種のサメの椎骨を連想

させます。魚類と同様に体幹を左右に振って前方推進力を得てお

り、イルカとは90度方向が異なります。この写真では不鮮明です

が肩甲骨の形状(鎌状?)がイルカとはだいぶ異なる様に見えます




White-sided Dolphin Skeleton articulated by Skulls Unlimited International,

on display at The Museum of Osteology.

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f9/White-sided_dolphin.jpg

Sklmsta, CC0, via Wikimedia Commons


カマイルカの全身交連骨格

骨盤と後肢の骨要素は完全に消失しています。魚竜と比較すると

頭部長の比率は低下しています。